ごんずい 56号機関誌 ごんずい 56号


目次
特集 ごみに向き合う
    シンプルが快楽 ごみ減量女性連絡会議の活動から
    ごみ減量 行政の取り組み
    自然に変わっていきたい 我が家のISOの取り組み/小柳泰祐
    経営から環境を考える/井上和也
    読まなきゃソン! 「たのしい不便」
    モノの循環から生命の循環へ/編集部
    [資料]水俣のごみ

    ありがとうございました


ごみ収集場特集 ごみに向き合う

20から21、そして24へ
分別の種類は増え
水俣のリサイクルは進んでいる
しかし、水俣病を経験したまちとして
さらにごみゼロに向けて踏み出したい
水俣病の教訓を軸に
住民・行政・事業者の協慟の取り組みで
ごみに向き合う水俣からの報告


シンプルが快楽−ごみ減量女性連絡会議の活動から−−−小里アリサ

ごみを家庭に持ち込まない

ごみ減量女性連絡会議によるトレイ調査
ごみ減量女性連絡会議によるトレイ調査
 シンプルな生活を心がけていてもごみは出る。特に買い物をするとあっという間にレジ袋やトレイ、包装材と共にある暮らしになってしまう。しかし、この二年ほどで、ちょっぴり自分の買い物のスタイルが変わってきた。買い物袋を持っていったり、トレイに入っているものを選ばなくなったり。

 それは、一九九七年末、「ごみを家庭に持ち込んでからリサイクルするのではなく、ごみを家庭に持ち込まないことが必要だ」という思いの女性たちが、市の呼びかけに応えて民間十六団体から集まり、ごみ減量女性連絡会議を結成したことによる。連絡会議では、毎日の買い物でごみを購入している現状を変えていこうと、まず市内大型小売店での食品トレイ使用の実態調査をおこなった。そして、約二〇年前から消費者とスーパーとの協定でトレイ廃止を実現している高知市に学び、大型店とトレイ廃止の協定締結に向けての話し合いに入った。

 当初、店側は、トレイに入れないと「見栄えが悪く売り上げが落ちる」「商品が傷んでロスが出る」「レジがバーコード対応なのでばら売りは難しい」と主張した。連絡会議では、トレイを使用すると、ごみが増えること以外にも「裏側が痛んでいてもわからない」「必要な量だけ買えずムダになる」というデメリットを指摘した。

住民・事業者・行政の協慟

高知のスーパー
高知のスーパーでは
トレイ廃止協定の88品目を
職員手帳に記載しているので
担当者がすぐ確認できる
(高知市サニーマートにて)
玉ねぎもばら売り
玉ねぎもばら売り
(高知市サニーマートにて)

 従来の、消費者とスーパーとの話し合いでは、「トレイに入れないで欲しい」「トレイに入れないとお客さんが買わない」と、お互いの主張が平行線をたどり物別れに終わっていた。しかし、ごみ減量女性連絡会議と大型店との話し合いには市環境課が参加し、住民と事業者、行政がごみ減量のために話し合う場となった。

 この話し合いで、店側にも環境問題に取り組む必要性や経費削減のメリットがあることを認識してもらい、九八年九月、青果物六五品目について、生協水光社、寿屋水俣店、フレッシュカモン、ワインフードいわおの四店舗と連絡会議は、市長、市議会議長立ち会いのもとトレイ廃止申し合わせ書の調印にいたった。

 協定締結から一年後の調査では、六五品目のトレイ廃止は守られていた。協定の中で、六五品目以外に三一品目については今後トレイ廃止を検討していくとしたが、これも協定適用除外条件である水もの商品や産地包装を除いてはおおむねトレイがはずされていた。また、量り売りやばら売りも増えてきた。店側からは、トレイの有無は売り上げに関係なかったという声もあがっている。

 しかし、ポリスチレン(PS)製トレイは減ったが、協定品目以外のトレイにペット素材が多くなっていたり、除外項目とはいえ産地包装のトレイがなくならないことが気にかかる。大型店ではpsトレイの回収をおこなっているが、ペットトレイは今のところ回収ルートがないのである。回収ルートができても、協定の主旨を理解すれば、トレイを使用しない、トレイ包装を使用した商品を仕入れないという方向が望まれる。

 また、連絡会議では、市によるエコショップ認定において審査の役割を担っている。トレイ、レジ袋の削減や省エネなどをおこない、環境にいい買い物ができる店を評価し、応援していこうという取り組みだが、九九年四月にトレイ廃止協定と同じ四店舗が、十二月には新たに九店舗が認定され、十三店のエコショップが誕生した。
 ごみ減量では、市民側の意識と行動も問われてくる。水俣市では布製買い物袋を全世帯に配布し、連絡会議でも「マイバッグ運動」に取り組んでいるが、買い物袋持参がおこなわれているとは言い難い状況である。レジ袋を有料化することが買い物袋持参を進めることになると考えているが、店との協議では、サービス低下と取られる恐れがあるということでトレイ廃止よりハードルが高い。買い物をする側の意識も変わることが必要である。ライフスタイルの問題なので、子どもたちへの働きかけという長期的な視点も持ちたい。


こんな風に暮らしたい

包装や売り方も変わってきた
トレイ廃止協定締結後は、包装や売り方も変わってきた
熊本県環境センターのパネル
トレイはタダではない(熊本県環境センターのパネルから)

 ライフスタイルを変えることは、すぐ、というわけにはいかないだろうが、世の中が不景気になり、モノを持っていることが幸せという幻想は崩れつつある。世間一般の価値観ではなく、「私はこんな風に暮らしたい」という自分の暮らしの価値観を作っていくことが、何よりも大事になってくる。例えば、いい環境やいい友人といった、お金では買えない大切なものに時間やエネルギーを使っていく。暮らしはシンプルに、気持ちは贅沢に。それが快適だと思えれば、やがて大きな変化が起こるだろう。それは、決して、遠い未来の話ではないように思える。なにせ、水俣は水俣病の経験というかけがえのない財産を一人ひとりが持っているまちなのだから。

食品トレイの廃止申し合わせ書

 水俣市ごみ減量女性連絡会議と事業所、生活協同組合水光社、寿屋(株)水俣店、(有)カマ、(有)岩生商店は、生活者の利益の擁護及び健康の増進を図り資源を大切にし、ごみを減らし環境にいい暮らしを推進するために食品トレイの廃止等について下記の通り申し合わせ書を締結します。

1. 表1の商品についてはトレイを使用しないようにします。ただし、表2の適用除外条件のトレイは含みません。
2. 表3の商品についてはトレイを使用しないように検討していきます。
3. 表2及び表3の商品にやむを得ずトレイを使う場合、紙トレイやリサイクルできるものを使うよう検討していきます。
4. その他、ラップ等の包装についても減らすと共にやむを得ず使用する場合は害になりにくいものを使うよう検討していきます。

表1. トレイを使用しない商品
番号  商品名 番号  商品名 番号  商品名 番号  商品名
1  だいこん 18  ぜんまい 35  たまねぎ 52  うめ
2  かぶ 19  わらび 36  にんにく 53  くり
3  ごぼう 20  みつば 37  らっきょう 54  ぎんなん
4  たけのこ 21  にら 38  温州みかん 55  バナナ
5  れんこん 22  セロリ 39  甘夏 56  パパイヤ
6  はくさい 23  アスパラガス 40  デコポン 57  マンゴ
7  さんとう菜 24  ブロッコリー 41  いよかん 58  レモン
8  こまつ菜 25  パセリ 42  ネーブル 59  とうもろこし
9  しゅんぎく 26  きゅうり 43  はっさく 60  クレソン
10  キャベツ 27  かぼちゃ 44  ぽんかん 61  ゆず
11  ほうれんそう 28  なす 45  清見 62  かぼす
12  ねぎ 29  ピーマン 46  ジューシー 63  すだち
13  わけぎ 30  そら豆 47  ばんぺい柚 64  ゆり根
14  にがごり 31  枝豆 48  オレンジ 65  芋の茎
15  ふき 32  もやし 49  グレープフルーツ
16  うど 33  からいも 50  洋なし
17  つわ 34  じゃがいも 51  かき

 
表2. 適用除外条件
1 水ものの商品
2 スライスした商品
3 特定の商品並びに初物、終物の商品
4 産地で包装した商品
 
表3. 今後検討していく商品
番号  商品名 番号  商品名 番号  商品名 番号  商品名
1  にんじん 9  長いも 17  すいか 25  活アサリ
2  カリフラワー 10  しょうが 18  青じそ 26  いか(干物)
3  レタス 11  わさび 19  ししとう 27  あじ(干物)
4  うり 12  りんご 20  なす漬 28  さば(干物)
5  オクラ 13  なし 21  きゅうり漬 29  厚揚げ
6  さやいんげん 14  パイン 22  だいこん漬 30  油揚げ
7  さといも 15  キウイ 23  高菜漬 31  ソーセージ
8  やまいも 16  メロン 24  白菜漬
 

モノの循環から生命の循環へ------編集部

 ごんずい四五号で、私たちの課題としたのは、「モノをごみにしない仕組みを作りだし、ごみをゼロにすること」だった。
 買い物でごみを買わない仕組みづくり、環境いい買い物ができる店の増加、生ごみとプラスチックの資源化の方向、家庭で環境意識を高める取り組みなど、この二年近くでモノをごみにしない仕組みは、少しずつ動き出した。水俣病の経験を軸にできる水俣だからこそ、住民・事業者・行政の協慟で仕組みが回ってきたとも言える。
 しかし、必要以上に作らない、有害なモノを作らないという方向に生産段階が変わらなくては世の中も変わらない。そのために、私たちはいらないものはいらないと言い、あるものを長く大事に使っていこう。
 モノの循環ではなく、生命の循環こそ、水俣から目指したい。


ご意見・ご感想・ご質問・お問い合わせ

前のページへ戻る