2013年度 活動方針

2013年5月26日開催 理事会報告

一般財団法人となっても、当面は事業内容に大きな変化はない。しかし、財政的には厳しい状況におかれることになった。今年度だけでなく、少なくともここ数年は財政的に厳しい状況が続くと予想されている。
「財政基盤の確立」は甘夏事件以降も相思社にとって最大の課題だった。しかし、長年にわたる「自転車操業的財政運営」は相思社の得意芸ともなり、「安定的自転車操業運営」といった自負ともなっていた。しかし、それは「相思社は社会的に存在意義があるから自転車操業であってもたおれない」という状況判断を反映したものだった。
しかし今後は今までのように「自転車操業的財政運営」は難しいのではないだろうか。
2011.3.11以降、原発事故の反面教師として水俣病問題が見直されることが多くなった。しかし、残念ながら今はまだ「水俣病を経験した日本が再び原発事故を起こした」ことの意味をそれぞれの関係者が我田引水的に意見を言い合っているだけで、コンセンサスを得るには至っていないように思える。
福島原発事故は「二度と水俣病と同じ過ちを繰り返さない」というかけ声がいかにむなしいものであったか、実効性を持たなかったか、を実証することとなった。だからこそ、今、「三たび同じ間違いは繰り返さない」ための方策を講じなければならないのではないか。
福島の原発事故を水俣病の再発と見るならば、そのことの責を政治や行政に負わせるだけではなく、水俣病関係者自身も責を負うべきであろう。
私たちは水俣病に長く関わり続けてきたことによって、水俣病が単にチッソという企業が起こした犯罪ということだけではなく、人間や人間の歴史が作り出してきたものであることを知った。
また、水俣病という病が人を狂死に至らしめるだけではなく、地域社会をも狂わせ、泥沼に落とし込んでしまうことを目の当たりにしてきた。
「水俣病患者・被害者のための相思社」というこだわりを捨て、「同じ過ちを繰り返さない社会づくりのための相思社」に目標を定めるべき時にきているのではないだろうか。

コメントは停止中です。