熊本県知事 潮谷義子 様


申 入 書

 水俣病認定申請者緒方正実さんの疫学調査記録が改ざんされていたことに始まった「ブラブラ」記述の問題は、知事が緒方さんに直接謝罪され、また、私たち三団体に対しても知事ご自身の言葉で謝罪があり、調査などの経過を見守りたいと考えていました。ところが、新聞によれば熊本県議会の一部の議員が知事の謝罪を批判し、「ブラブラ」が的確な表記であるとされています。大変残念ながら、知事の努力を無にし振り出しに戻ってしまったといわざるを得ません。
緒方さん自身と患者団体が県議会に抗議文を出しましたが、議会はまったく取り合わないという状況です。
私たちは、「ブラブラ」問題は単に言葉の問題ではなく、水俣病認定申請者に対する熊本県行政のこれまでの姿勢の問題だと考えています。
つきましては、次のことについて、熊本県としての考えをお聞きしたいと思います。

一、 まず、この「ブラブラ」表記問題の本質が何であるのか、県としての考え方を明確に示していただきたいと思います。
添付資料にもありますように、平成七年の政府解決策に関連して、当時の大島環境庁長官は認定申請者に対し「いわゆるニセ患者と呼ばれるいわれはない」と発言されました。また、福島県知事は「今までの行政の対応が不十分だったため、この問題の深刻さが拡大し、多くの人の心身両面にわたる苦痛が増大したという不幸な事態をもたらしたことを率直に認め、心から遺憾の意を表します」と発言されています。
かつて一部の県会議員が水俣病認定申請者を「ニセ患者」と呼びました。そのことによって多くの申請者が辛い思いをしてきました。だからこそ、平成七年の和解に関連して、長官も知事も反省の弁を述べられたのだと思います。しかし、残念ながら今回の一部県議の発言は、長官や知事の発言、そしてもやい直しに取り組んでいる地元自治体と住民、患者の努力を水泡に帰そうとするもののように思われます。
過去の経緯をふまえた上で、今回の問題に関連して、再度、熊本県としての考えを県議会と県民に公表していただきたいと思います
二、 私たちは県議の発言に抗議しようと調べる中で、「ブラブラ」表記だけでなく、「ゴロゴロしている」と書いてある例を見つけました。この表現も、公文書に水俣病被害者の「就労状況」を表現する言葉として適当なものとはとうてい思われません。私たちは他にもこのような不適切な表現、申請者の人権を無視するような表現があるのではないかと思っています。つきましては、これに類した不適切な表現の事例が他にないのか、再度の調査とその結果の公表をしていただきたいと思います。
三、 もし、熊本県として真に反省すべきと考えているのなら、今回の問題を糧として、今後、あらためるべき具体的な方策を示していただきたいと思います。

 平成一二年一〇月五日

水俣病患者平和会 会長 石田 勝
水俣病患者連合 会長 佐々木清登
水俣病被害者の会全国連絡会 代表委員 森 葭雄
同上 幹事長 橋口三郎