五月一日、今年も水俣病犠牲者慰霊式が開催されました。
平成四年に始まった慰霊式も九回目となりました。当初は私たち患者の中には「行政が開く慰霊式では本当の鎮魂にはならない」との意見もあり、参加しない患者団体も多くありました。
吉井市政となった平成六年慰霊式の式辞において、水俣市長として水俣病行政に対する反省と犠牲者に対する陳謝の言葉を述べられました。そのこともあり、より多くの患者団体が慰霊式に参加するようになりました。平成七年には政府解決策が示され、翌平成八年の慰霊式からは環境庁長官も出席するようになりました。
平成九年から水俣病犠牲者名簿納めが始められました。しかしながら、その対象者は行政によって水俣病と認定された患者に限定されたままです。
市長もご存じのように、行政によって認定された患者だけが水俣病患者ではありません。現に水俣市も慰霊式やその他の行事に患者団体の代表として未認定患者にも参加を呼びかけています。
周りの偏見や差別の中で認定申請もできないままに亡くなった患者がいます。認定申請をしても二年以上も放置され、検診さえ受けることなく亡くなった患者もいます。死者に対する遺族の悲しみは認定患者も未認定患者も変わりはありません。かえって、認定されないままに亡くなったことでより悲しみを深くされている方もいます。
水俣市は「もやい直し」に積極的に取り組んでおられます。もやい直しが必要なのは患者と非患者の間だけではありません。認定患者と未認定患者の間にも埋めがたい溝が存在し、そのことに悩み苦しんでいる患者も多くいます。水俣市の主催する慰霊式、あるいは犠牲者名簿納めといった場において、認定患者と未認定患者を区別することは「もやい直し」の精神に反することだと思います。
吉井市長も著書の中で「水俣病の被害を被った人たちのすべての霊を慰め、冥福を祈ることが出発点」と慰霊式の意義を説かれています。つきましては認定、未認定を問わず、被害者の遺族が名簿納めを望んだ場合にはそれを受け入れていただきますよう要望いたします。
平成一二年七月一八日
水俣病患者平和会 会長 石田勝
水俣病患者連合 会長 佐々木清登
水俣病被害者の会全国連絡会 代表委員 森葭雄
同上 幹事長 橋口三郎