魚湧く海

いおわくうみ

水俣病患者連合編集

魚湧く海(いおわくうみ) 写 真:芥川 仁
装 幀:毛利一枝
編 者:水俣病患者連合
発 行:1998年2月16日
発行所:葦書房
価 格:2800円/税別
A5版:346頁
 不知火海に生まれ育った人々にとって、不知火海は生活のすべてであった。そんな人々にとって水俣病事件も生活の一部でしかなかった。患者運動とて特別なものではなく、暮らしの中に位置づいていた。
 第一部では、患者のナマの暮らしと闘いを写真と患者みずからの言葉でつづった。あるべき患者像ではなく、ありのままの生活の記録である。言葉を替えれば、水俣病事件を通して人々の生活ではなく、生活の中にある水俣病事件ということだ。
 第二部は運動の記録である。23年に及ぶ水俣病未認定患者運動の集大成。外から見える運動、あるべき姿の運動ではなく、運動の当事者しか持ち得ない資料を駆使し、経験した事実に則しありのままをつづった。患者運動は正義と成功の歴史ばかりで成り立ってはいない。時には迷うこともあったし、失敗や間違いだっておかしてきた。運動とはそうしたものだ。
 特記すべきはほとんど文献を参考にしなかったこと。手持ちの資料やメモ書きだけ/膨大な量ではあるがをもとに、記憶をからめて書いた。書き終えて、こんなことはことができるのは私たちだけだ、との自負はあるのだが。
 芥川仁さんにはこの本のために何度も水俣・芦北・御所浦に足を運んでいただいて多くの写真をとっていただきました。毛利一枝さんにも編集の初期から関わっていただき、すばらしい装幀に仕上げていただきました。/編者の一人・弘津敏男

「魚湧く海」目次

ごあいさつ/佐々木清登/水俣病患者連合会長

刊行に寄せて/原田正純/熊本大学医学部助教授

東京の片隅から/久保田好生/東京・水俣病を告発する会

第一部 不知火海とともに
第1章 米櫃の海/写真・文 芥川仁
第2章 聞き書き 海と山に生きた人々
月浦――無我の境にて魚釣る我/植田チエ
湯堂――ボラがな、ぶわあーって湾に入って来るわけたいな/吉浦一正
八幡――山と海の幸に囲まれて/坂本巽
赤崎――常々カライモ、イワシのしゃあ/森山忠
合串――一生懸命してきたばってん/村上スミ子
福浦――ばあちゃんの死んで行く顔/村上初子
女島――生かされていくことに感謝して/松崎重光
  ――いつも心に歌がある/小崎幸子
  ――本当にみんなでがんばってきたっよ/佐々木清登
計石――誰かれなしにみんなを救ってやればよか/河口フサノ
杉迫――漁業と運動とパチンコ/嶋中勝美
倉谷――心の目で歩んだ道/楠本直
切通――心の中の故郷へ/中村チヨ子
御所浦――村沸きて甘夏植えし山畠に緑したたる豊かな島/白倉幸男
   ――やっぱり水俣病は終わってはおらんぞて言う気持ちですたい/松崎信義
   ――海の仕事が一番気楽なあ/松下優重
御所浦座談会/松村守芳・荒木俊二・濱本晃彰・山下實雄・山崎トシ子・小林洋一郎

第二部 水俣病患者連合の軌跡

1 水俣病未認定患者運動前史

2 水俣病認定申請患者協議会の闘い

3 水俣病チッソ交渉団の闘い

4 水俣病患者連合の運動

第三部 資料

あとがき/高倉史郎/水俣病患者連合事務局
編集後記/高倉史郎・弘津敏男・小林洋一郎・藤本寿子

前のページへ戻る