阿蘇の水巡り、いや食べ歩き紀行

(1)「伝える」と「ホスピタリティー」の観点から考察

@熊本県美里町の石橋「大窪橋」

美里町にはたくさんの石橋があると美里町のHPで知っていたが、有名な霊台橋の手前に大窪橋の案内板があったので見にいった。橋の両側の桜が満開だった。現在は道としては使われていないが、歩いて渡ることはできる。「大窪橋(おおくぼばし)は名工丈八(橋本勘五郎)が造った平地にある石橋です(美里町HP)」。下を流れる川にはクレソンが生えていた。水は冷たく水はきれいだった。石橋と桜の取り合わせが良いのか、本格的なカメラで写真を撮っていた。国道からちょっと離れているので騒がしくもなく、ただひっそりとそこにあるという風情がとても良かった。

  

A霊台橋

 この橋は現在、歴史建造物として保存されているが、歩いて渡ることはできる。確かに大きくて立派な橋だが、国道を走る車がうるさく落ち着くことができない。橋の由来と改修経過が案内板に書かれているが、その説明文では現在の橋のどの部分が改修した部分で、どの部分が建造時の部分か分からない。木材を運ぶ鉄道が通っていたらしいが、そのトンネルの位置が分からない。その橋がどのように使われてきたのか分かると、その時代や文化が一緒に想起されて楽しみが増すように思う。音声案内もあったが、どうもよく分からない。石橋の立派さはたいしたものだが、あまり親切な案内とは言えない。

  

B通潤橋

 ここを訪れたのは3回目だが、来る度に周辺が変わっているが、その変化があまり良いものとは思えない。橋は有名なばかりでなくその規模も立派な橋だが、それの見せ方はあまり適切ではない。気になる第一は、橋の左側にある用水から流れ落ちる滝のような水路。これは元々ここにあったものだろうか? そうだとするとどのような意味を持つものなのか? 説明がない。元々なかったものだとすれば、通潤橋の存在意義を薄めているとしか思えない。気になる第二は、橋の下流側にある建物が廃屋のようで、とてもそこで休憩する気にはなれない。資料館やおみやげ屋や食堂あたりの開発状況と照らし合わせると、この場所は放置されているようだった。気になる第三は、食堂。午後1時にすべての定食が売り切れ状態だったが、多くの人が来る場所の食堂としていかがなものか? またいろいろと理由はあるのだろうが、食券自動販売機の食堂は、ここを訪れた人へのホスピタリティーが感じられない。あまりにも有名な通潤橋だから、よけいに客を迎え入れる姿勢が問われるのではないだろうか?

C円形分水

通潤橋は用水路が通っているわけだが、その用水路の上流部の川からの取水口の下流に円形分水がある。円形分水は耳慣れない言葉かも知れないが、円形の枡に上流から流れてきた水をサイホンで誘導して分ける装置のことである。こうした装置は、水争いがあった地域であることが想像できる。円形分水だと、水を公平(田んぼの耕作面積に応じて)に分けていることが目で見て分かる。ここでは3:7で水をそれぞれの用水路に分けている。よそでは三分割・四分割もあるようだ。円形分水は日本各地にある(大分、群馬、長野、岩手、神奈川等々)。その形と言い水のなめらかな流れと言い、通潤橋を見たならば是非見に行くことをおすすめする。円形分水の場所は、通潤橋から国道218号にでて山都町方向へ走り、左手に消防署が見えたらその少しさきに、左に曲がって(円形分水公園の表示がある)、道なりに3分くらい走る。この機能美はすばらしい

D一心行の大桜

 この桜は熊本県ではかなり有名。ちょうど桜の咲く時期だったのでいってみた。道路標識がたくさんあって分かりやすい。ボランティアらしきおじさんの誘導で入っていくと、おばさんが待ち受けていて「駐車料金500円」を取られた。もう一つ説明がないので少々納得できないとも思ったが、まあ桜の管理にはお金もかかるよねと思うことにする。実際に多くの人(期間中に10万人)がくるわけだから、受け入れの仕組みがない頃には、この地域の人はずいぶんと迷惑を被ったのではないかと思う。それからすれば500円の駐車料金は当たり前ではある。大桜というだけあって確かに大きい。染井吉野の比べると、花びらの色がやや薄く山桜かなあ。看板に一心行の謂われはあるが、桜の種類は書いてない。桜の下の墓のようなものの説明もない。紀恵さんは「これは一本じゃなくて三本じゃないかしら」なんて言っているが、私は「どうでもいいじゃないか、大きければ」等々。桜のやや下手(このあたりは昔は田んぼだったと思われるが、駐車場と桜の回りを公園のように整備している)にテントが建っていて、そこでおみやげた食べ物が売られていた。詳しく見たわけではないが、南阿蘇村の特産品を中心に構成されていたと思う。特に良かったのは、うるさいバックグランド・ミュージックがないことだ。まさに「一心行の桜をストイック(?)に愛でる」に集中させるためかな? 

水俣のイベントでは意味もない音楽がうるさくなって鳴っている。音楽一般がまずいわけではないが、脅迫観念にとりつかれたように音を流すのは止めてもらいたい。雰囲気を盛り上げているというのだろうが、あまりにも安易ではないか?

総括

 霊台橋や通潤橋はあまりにも有名。それ自体で存在価値があり、見せ方や伝え方などはどうでも良いと言えるかも知れない。それはそのものをよく知っていればのことである。知らない人や初めて見た人にとっては、関係者がそれをどのように見せたいのか、伝えたいのかは重要である。その点で特に通潤橋は、そのものの存在意義を半減させてしまっている。通潤橋周辺はよく整備されて、お弁当を持ってハイキング気分が味わえるようになっている。思うにここを訪れる人をどのように想定しているのか、何を伝えたいのかを明確に示すことが必要であろう。

(2)一の宮・阿蘇神社門前町食べ歩き&水基巡り

 この事業のために決めたことは、夕食に差し障るから午後2時以降はけっして食べない。前日の教訓を生かしたい(ペンション「おかの家(おかのやではありません)」のおいしくてボリュームのある夕食が楽しめないから。ちなみにこのペンションは、キンキラのペンションではありません。ちょっと広場から入ったところにある落ち着いた大人の雰囲気です。おすすめです)。食べ歩きはジャンクなムードだけど、門前町の食べ物は決してジャンクではない。

@田代屋

3年前、阿蘇たにびと博物館の梶原さんに案内してもらった場所だが、おいしかったので再訪した。阿蘇神社は相変わらず立派な神社の構えだが、そこを素通りして田代屋に向かう。目指すはまんじゅうである。あんこは白と黒。どちらもとても甘くておいしい。1コ80円。安い、旨い、早い。さっそく家族で3固買って、阿蘇神社の鳥居の下で食べる。

「阿蘇神社の南鳥居前にある素朴なお好み焼き屋さんで販売している、その名もまんま「万十」。蜂楽饅頭でもなく回転焼きでもない、でかい鈴カステラのような形をした饅頭です。白餡と黒餡があり(どちらもほんのりとした甘さとかではなく昔のまんまマジ甘い^^;)こいつを頬張りながら門前町をさるくのがお奨め。1個\80」(阿蘇たにびと博物館HP)

    

Aとり宮馬ロッケ&湧水「欣命水」

 精肉店とり宮さんに入るとさっそく「メンチですか馬ロッケですか」と聞かれ、すかさず「馬ロッケ3コ」と応える。オーナーは門前町の取り組みをてきぱきと話してくれた。「冬は寒いので桜の咲く頃にきてくださいと言ってるんだよ」とオーナー。確かに通りの両側に桜が咲いている。町並みが3年前に来たときよりも看板が統一されていたり、湧水の案内が分かりやすくなっていた。揚がった馬ロッケを、通りに椅子をだしてもらって食べる。「うん旨い」一個じゃなくてもう一つと思うけれど、後のことをを考えて止める。

    

Bたのや&湧水「菓恋水」
小さなシューの中に、びっくりするほどカスタードが詰まった「たのシュー」を食べる前に、ゆず味のソフトクリームを買喰いしたけど、どこの店か忘れてしまった(後で判明
湧水茶屋なかまち)。これも「たのシュー」に負けず劣らずおいしかった。

    

C木村とうふ

 木村とうふはとり宮のオーナーから、「一の宮のおいしい水で作ったこの豆腐を食べなくては」と紹介してもらった。宮地駅から大分方面に500メートルくらい走ると、右に旧道があるのでそこに入ってちょっと。冷ケースにはたくさんの種類の豆腐が並んでいる。桜豆腐なんて時期のちょっとそそられるものもあるが、ここは王道の阿蘇産大豆を使った木綿豆腐であろう。一個220円(水光社の豆腐と同じサイズ・同じ価格)。でもどうやって食べよう? ペンションに持って帰って食べる? 「持ち込みだめよ」と妻。「すいませんがお皿とお醤油をお願いできませんか?」と超ずうずうしいお願いをしてみる。快くかなえてもらって店の前のベンチで食べる。「旨い!」妻と娘も黙って食べている、おいしいからだ。こんな豆腐がいつも食べられる一の宮の人がうらやましい。

    

Dさらにとり宮さんに教えてもらった後藤万十店に向かう。峠の登り口にある昔は茶屋だった雰囲気の店である。愛想はない。3種類の酒まんじゅうを買う、黒あん、白あん、タカナあんを食べ比べる。どれもおいしいがやはり阿蘇はタカナあんでしょうか。

     

 もう腹一杯、これからは夕食まで何も食べないよ! と深く決心する。しかしすっかり食べ物に気を取られて、水巡りのことを書き忘れている。うーんそれは飲みたい人は門前町へ行ってください。どの水もおいしかったよ。

おまけ

ほんとはおまけじゃなくて大事なテーマだったけれど、食べ物の前ではかすんでしまった数々の湧水。どれがどの湧水かそれは秘密です。どれも白川水源から近いよ。