茂道の画家、石本寅重(いしもと とらしげ)さんの絵画を4点、考証館に展示しました。
石本さんは漁師の子として水俣市茂道に生まれました。子どもの頃から画家を志していましたが、戦時中の混乱により、諦めざるを得ませんでした。しかし生涯にわたって絵を描き続けました。
1954(昭和29)年、6月初めごろから急にネコ猫が狂い死に始め、ネズミが急増し部落じゅうを荒らし回りました。
そこで地区を代表してネズミ駆除を申し込んだのが、当時33歳だった石本寅重さんでした。
そのことが初めて「水俣病の兆候」を伝える報道(熊本日日新聞8月1日記事)となりました。
ほどなく人間にも異変が現れます。
後年は、寅重さん自身も患者となり、水俣病の症状によって手の震えが激しく、息を止めて筆を持つ手を押さえながら描きました。
展示している作品は次の4点です。
受難の船(1949年)
もやい綱(1955年)
自画像(1983年)
納屋から見た漁港(1987年)