11月16日から18日まで、筑波大学博士課程(生命環境系)の「3日間オンライン合宿」を行いました。毎年11月に、相思社で3日間ワイワイ合宿をしている博士課程のプログラムの一環なのですが、今年はオンラインでみっちり水俣とつなぎました。
参加者は、中国、ブラジル、ガーナ、スリランカ、ミャンマー、ベトナム、日本の学生で、海外の自宅から参加した学生もいました。国際色豊かなグループで、プログラムはすべて英語で行いました。
1日目、まず仏壇の前で相思社職員と顔合わせを行いました。
その後、考証館を案内しました。カメラに向かって話をするので、相手の表情などの反応は見られないのですが、参加者からの質問もたくさんあり活発なやり取りができました。午後は、遠見の家を訪問し、谷由布さんから施設の説明を受け、谷洋一さんから現在の課題などの講義がありました。昼食後の時間にお邪魔したこともあり、利用者の方々のリラックスした様子が印象的だったようです。その後、葛西と「バーチャル水俣めぐり」をして1日目は終了しました。
2日目は、午前中に川本愛一郎さんのお話を聞きました。日本の植民地支配とチッソ興南工場の話から始まり、川本輝夫さんの闘いと家族として愛一郎さんが経験されたことなど、あっという間の2時間半でした。午後は、坂本しのぶさんのお話。小泉の聞きづらい通訳で申し訳なかったのですが、しのぶさんの力強さに心動かされ涙を流す参加者もいました。
3日目、午前中の国立水俣病総合研究センターの坂本峰至さんの講義では、現在進行形の水銀汚染が課題になっている国の参加者から、世界の汚染事例についての質問も多数あり時間が足りなくなるぐらいでした。午後は、細川一医師を題材にしたディスカッションを行ったあと、車に乗って茂道にフィールドワークへ出かけ(る様子をカメラ越しに体験し)ました。最後に参加者一人ずつ水俣から学んだことをプレゼンテーションし、3日間の「合宿」はお開きになりました。
パソコンの画面上だけでなく、五感で水俣を感じてもらいたい!と思い、合宿前に水俣のお茶、みかん、からたちの甘夏かりんとう、坂本しのぶさんが水俣条約締結国会議で配布したパンフレット、地図などを「水俣パック」として自宅に送り、水俣を味わってもらいました。海外の学生にはみかんの代わりにエコネットみなまたの石けんを届けました。
また、なるべく一方的にならないようにチャット機能や小グループに分かれる機能を駆使し、ディスカッションやコメントをする時間を多く取りました。ベトナムの学生が自分の家族の枯葉剤の被害について語りだしたり、どのように考えたらいいのかわからないという「まとまらなさ」の葛藤をぽつぽつ話す人もいて、オンラインながら合宿の深夜のおしゃべりのような時間も生まれました。