2020年5月31日開催 理事会報告
2020年度は、4月に新入職員を迎え、8名体制で臨むこととなった。
今年度は、新型コロナウィルス禍のなかからのスタートとなった。それぞれの仕事に少なからぬ影響を与えることになりそうだ。とりわけ、前年度好調だった水俣案内、学生合宿、講演などの「伝える活動」に与える打撃は計り知れない。収入への影響も重大だが、将来にわたる活動全体の縮小も危ぶまれる。コロナの影響が長引くことを前提として、様々な代替手段を手探りしていく年となるだろう。
そのような条件のもと、それぞれの業務・企画について次のように計画している。水俣病患者連合については、イベントのお世話ならびに環境省等との交渉のサポートが主な仕事である。今年度も、役員の皆さんとまめにコンタクトを取りながら、会員の方たちの思いに沿った業務を心がけていきたいと考えている。しかし今年度はコロナウィルスの影響から、高齢でもいらっしゃる役員・世話人の皆さんとの対面での会議や、イベントの開催は難しそうである。花見会、旅行などはすでに取りやめとなっている。
資料のデジタル化業務は休止しているが、環境省への要望書のなかで継続を訴えているので、今年度も引き続き要望していく。
星槎大学との協同で毎年、三日間の合宿形式で開催をしてきた、幼稚園、小・中・高校、養護、栄養の教員を対象とする教員免許更新講習は、今年度で6年目を迎え、口コミでの評価から、例年20~30名が参加するようになり、今年度は43名が参加予定であった。しかし、コロナウイルス感染症の影響から、大学側から中止の連絡があった。これまで口コミで広がりを見せてきた参加者の皆様の信頼を損ねることになるので、参加予定であった先生たちにオンラインでの授業を相思社独自で提供することとする。次年度につながる事業としたい。
熊本県からの受託事業である水俣病啓発事業は、高校対象事業を今年度も受託することになった。相思社の受託は7年目となる。この事業は始まって以来毎年20校で実施していたが、20年度は10校になる(クラス別出張講話3校を含む)。減った分に代わり、今年度は1校で、水俣フィールドワークを行うことになっている。この事業についてはもコロナの影響を受けており、今現在2 校がキャンセルとなっており、今後も状況は不透明である。
水俣病を伝える活動については、ひとつは映画「MINAMATA」の封切りによる日本や海外での影響効果を期待している。英語のホームページを充実させたり、考証館ではスマホを利用した英語解説を施したい。
水俣病関連資料検索データベースは、4月1日よりOPAC(オンライン蔵書目録)サービスで公開した。ユーザー数の上限がなかったり、スマートフォン等でも見られるため、より多くの人が水俣病関連資料の情報にアクセスできるようになる。
水俣病歴史考証館は、展示パネルの改訂が終わり、エアコンやシャッターなどを設置し、コンディションが整って迎える年度となるはずだったが、コロナ禍で来館者ゼロの日が続いている。そこでホームページを利用した「おうちで考証館」をオープンした。収入にはならないが、新しい層に水俣病を伝える可能性と、災禍が終息したあとの来館につながることを期待している。また、
新しい展示内容に則した『図解水俣病』の販売を開始する。これもコロナ禍のなかで「水俣病を伝える」手段のひとつでもある。収入源が少なくなるなかで、電子書籍としての販売も検討している。
機関紙「ごんずい」の発行は、コロナ禍の影響を受けにくい活動である。ほかの活動に向けられない分のリソースを、これに注力したいと思う。現会員の水俣・相思社への関心をひきとめるだけでなく、ときにはこれまでにない切り口の特集を企画したりして、これまで水俣病に関心が向かわなかったひとたちとも繋がっていきたい。
物販に関し、みかん販売については、収量の少ない温州みかん(北海道生活クラブ生協のみ)やスイートスプリングは生産者と調整しながら販売計画する。温州みかんジュースは18年度の搾汁の冷凍保存在庫を継続して販売する。甘夏は、無農薬への切り替えに取り組んでいる若手生産者の取り扱いを、応援する意味もこめて積極的に増やしたい。みかん生産者は高齢化と後継者不在という問題があり、今後の販売量低下は免れない予想だが、みかん販売は相思社が地域と関わりを持つための事業でもある。また、購入者側からすると、患者・相思社支援の思いがある。なので、収益以外の価値を大切にしながら継続していきたい。
りんごは、気象変動の影響を受けて、生育状況が微妙に変化している。生産者と生育状況の確認を密に取りながら販売していきたい。
会員については、コロナ禍で出会う機会が激減するなか、様々な手段を通してコミュニケーションをはかり、ネットワークを育てていきたい。また、会費や寄付については、クレジットカードを利用して納付できるようにしてほしいという声がある。それと、映画MINAMATAの影響を受けての、海外からの寄付も期待している。また、これまでにない新たな層からの寄付や入会を期待できるという意味で、一定の手数料はかかるが、クレジット決済を導入する価値はあると考えている。