新しい展示物のご紹介

水俣病歴史考証館の「健康被害」展示コーナーに車いすが増えました。

公式確認のきっかけになった田中実子さんの車いすです。2000年代に、主に通院などの外出時に使用されていものです。
水俣病協働センター遠見の家で保管されていたものを先月寄贈していただきました。

田中実子さんは、2歳11か月の時に水俣病を発症しました。そのときは、靴が履けない、話ができない、歩けない、などの症状だったそうです。1956年5月1日、5歳のお姉さんとともに実子さんの症例は病院から保健所に報告されたことが、水俣病の公式確認となりました。当時は原因もわからず、水俣病という名前もなく、原因不明の奇病として扱われました。

この車いすは、田中実子さんの小柄な体形に合わせて特注でつくられており、自らの力で支えられずに前へ倒れ込んでしまうのを防ぐために支えやベルトがつけられています。

週末に見学にきた子供たちは、「赤いね、女の子の車いすかな?」「きもちよさそう」「このベルトはなんだろう」と口々に話をしながら見ていました。

自分の体を思うように動かせない水俣病の症状や、発症後ずっと続く健康被害について知ってもらい、田中実子さんが刻んできた時間の長さを感じてもらえたらと思います。

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