西南学院大学と九州大学でトーク♪

5月11日は西南学院大学で、12日は九州大学で、水俣病を描いた過去のTVドキュメンタリー作品の上映会とリレートークが開催されました。
西南は120名、九大は80名の入場だったそ うで、それぞれに賑わいました。先週の鎌仲ひとみさんとのトークイベントのスタッフさんやお客さんだった方、相思社会員の方や水俣病支援者、夏に合宿に来て くれた学生さん、昔なじみの知人、沢山の方の嬉しい参加に緊張しながらも、ホッとして。差し入れなどもありがとうございました!

トークの構成は、1990年代当時の水俣を撮った水俣出身の元RKK記者の村上雅通さん、同じ頃から現在も水俣を撮り続けるNHKの吉崎健さん、原田正純さんの娘さんの萬野利恵さん、水俣病に関わる永野三智でした。今回も「下手でも飛び込め!」精神で伺ったのですが、ほんとに勉強になりました。ありがたいありがたい。

一日目のトークのお題目は「メディアと水俣病~思うこと、望むこと」。
メディアはさまざまな場面で水俣病を取り上げてきました。初期の誤った水俣病報道も今に至る差別や偏見の発端の一つになっていると思いますし、今の原発事 故と同じように「御用学者」や企業側の説が大々的に取り上げられて原因究明を混乱させたり、権力や体制に傾いた報道がなされたこともありました。

これはマスコミだけの責任ではなく全部私たち自身に言えることです。メディアというのは何もマスコミだけではありません。情報を流すことをただ任せるので はなく、私たち自身がメディアになっていくことが必要だと思います。何を選びとっていくか、何を発信していくのかに責任をもち、自分の目で見て、感じて、 発信することを大切にしようと改めて思いました。

二日目は「水俣病と市民~市民は水俣病とどう向き合ってきたか」。
「市民たちの水俣病」というノンフィクション番組を作った村上さん。母は水俣駅前で洋装店を営み、父はチッソの下請けで働くなかで育った村上さんの患者に 向ける目や作品の登場人物の考えは、ちょっと前の私と重なる部分がありました。私も自分がネガティブな経験をするとき、「患者が悪い」と思っていた時期が ありました。
そして、相思社に来た6千人の患者たちにもそれぞれの水俣と水俣病があります。患者家族もいれば水俣病とはまったく関係がないと思って患者に対し批判的な 目を向けてきた人。様々ですが、マイクを向けられた人にだけ水俣病があるわけではなく、当たり前だけど一人ひとりに水俣病があります。

「もやい直し」という言葉があります。「水俣市民と水俣病患者の絆を取り戻そう」と言われていましたが、今回の特措法で、その水俣市民の多 くが患者になりました。もやい直しで言われた「水俣市民と水俣病患者」の境界線がなくなっています。最高裁の判決以降、また流れが変わろうとしています。 時代の流れと共に複雑な構造が作られていく水俣病事件。患者となった市民たちはこれからどう水俣病と向き合っていくのでしょうか。

別枠で、胎児性水俣病患者の半永一光さん(57才)はご自身が写された番組、「写真の中の水俣」を通して、吉崎さんとともにご自身の思いを語られました。 障がいがあることで「感情を表現できない」と思われがちな半永さん。他者から「子どもに語りかけるように」接せられることの多い彼は、自分の心の中を見て ほしいとの思いから、「写真」という表現を選んだ。通して作られた映像でした。イベントの前に一回、イベント中に二回見ましたが、また見たい映像です。

登壇者になるとあまり客観的にイベントを見ることができず、他の登壇者の話がしっかりと耳に入ってきていないのが残念でした(私がこういう場にまだ慣れて いないこともあります)。このイベントは会場からじっくり聞きたかった。それぞれの方のお話をもっとじっくりと掘り下げて聞きたかった。

終わってから個人的に、お客さんから今回のトークの人数構成や時間配分についてのアドバイスなどいただきました。私は「モノを言いやすい顔」のようで (笑)、こういうことがよくあります。その一つひとつ、我がことして受け止めて損のないことでした。ありがたいありがたい。

今日は午前中に理事会に向けた会議があり、昼休みには昨日のハンセン病市民学会の参加者の方々が鳥取からお越し下さり水俣病に関してのお話をしました。その後、ごんずいの原稿に新茶の案内準備に。

ここしばらく溝口訴訟や出張で動きまわり、足元がおろそかになっています。

あり方委員会も、ごんずいの編集も、新茶の案内作成も、仕事として依頼いただいた原稿も、今年から始まった新規事業の打ち合わせも、メールの返信も、溝口先生のことも。

仕切りなおさなきゃ。今から残業です。
今日からまた、地に足を付けて歩きます。娘とのバランスにも気をつけて。

※写真は一日目の西南学院大学にて。

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