今日は、若い世代の方の水俣病認定申請手続きの相談をお受けしました。
水俣病被害者手帳の申請が終了してもうすぐ一年が経とうとしています。行政の受付窓口終了後も、相思社への相談は毎日のようにあります。今回の救済措置では今、様々なほころびが生まれています。被害の受け皿がほぼないに等しい今、取り残された人たちの存在が心配です。
今日の申請者は、一見すると元気そうですが、若い(幼い)頃から水銀の影響とみられる様々な症状に悩まされてきました。しかし今回の特措法ではずさんな検診を受け、見事に認められませんでした。この方の両親兄弟親戚一同、行政によって水俣病と認められています。
若い世代の申請の大方がそうですが、この方も親御さんに連れられてやってきました。母親たちは、「私が魚さえ食べなければ」と言って自分を責め、「まだ若 いのにこんな身体で」と子を思い、「今も将来も医療費の心配なく病院に行かせたい」と手続きをしに連れてきます。自分を責め、子を可哀想に思う母親もま た、水銀に侵され、時には子を流産や死産で亡くした経験を持つ被害者です。
また、今回行政は、被害者手帳申請窓口を開ける際に、対象年齢に満たない方(※)や対象地域外(※)に住んでいる方の救済の幅を広げると言い、多くの方に 申請を勧めた。沢山の患者団体の努力により、今まで対象外だった人たちの中に水俣病特有の症状のあることが分かってきました。実際に対象地域外では、被害 者手帳の取得を認められた方もいますが(詳しくは姫戸町)、それもごくごく一部。今相思社でもお手伝いをしている地域(詳しくは伊佐市)の方たちは対象に なっていません。
そして対象年齢に満たない若い患者は、蓋を開けてみるとその条件となったへその緒の水銀値が一ppm(認定基準で昭和30年頃の高濃度の水銀値)と極端に 高く設定されており、相思社ではすべてのケースがその対象にはなりませんでした。後日、その基準を満たした方が数名いることが分かりましたが、掘り起こさ れた他の若い患者たちは、放置されたままです。
10年前には山間部に患者がいることは非常識でしたが、今や被害は常識です。今後、若い世代が患者であることが常識にならないと誰が言えるのか。今日相談に来られたこの方に加えて若い方たちの追跡調査を行い見守っていきたいと思います。
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