今日は重金属を学ぶマレーシアの皆様に、水俣病患者の暮らしや症状についてのお話をしました。
国際鉱業さんがお連れくださったのですが、この研修で足りない部分を補いに来ましたという言葉が嬉しかったです。依頼では、裁判の歴史や補償制度について教えてほしいということでしたが、マレーシアの人たちは補償制度や患者の症状に興味を持たれました。日本の抱える矛盾をしっかりと伝えられたと思っています。また、患者の症状については、一昨日の名古屋で行った東海検診の話を中心に、個別具体の方たちの現状をお話しました。
研修員たちは、補償制度や救済制度、認定基準、後天性水俣病の判断条件、認定患者と未認定患者など、どうしてこんなにややこしくなってしまったのかに、日本人よりもずっと関心を持たれました。1時間半の講話でしたが、10分話して10分質疑の繰り返しで、活発かつ刺激的な時間になりました。通訳をお願いするので、訳していただいている間に頭のなかをまとめることができて、案外と外国の方向けの話のほうが、ずっと上手に話をすることができるような気がします。通訳の原田さんありがとうございます。
走りきった講義、次は第四の公害病のひとつ、土呂久へ行かれるとのこと。佐藤マリコさんと慎市さんに会われるので、「姉と兄のように親しく思っています。現場に身をおいて、現地の皆さんの証言と土地の記憶に耳を傾けてください」と伝えました。リレートークのようなこの繋がりを楽しみながら。
(土呂久ミュージアムのHPのより引用「 第四の公害といわれる慢性砒素中毒症」
http://toroku-museum.com
公害健康被害補償法は、公害病を一種地域(複数の企業活動が原因となった疾病)と二種地域(特定の原因物質による疾病)に分けている。一種地域は慢性気管支炎、気管支ぜん息、肺気腫などの患者が多発した全国41カ所の大気汚染地帯。二種地域はイタイイタイ病の発生した富山県の神通川流域、水俣病患者の多発した熊本県と鹿児島県の不知火海沿岸、新潟県の阿賀野川流域、それに慢性砒素中毒患者が見つかった宮崎県高千穂町土呂久鉱山周辺と島根県津和野町笹ケ谷鉱山周辺である。
慢性砒素中毒症は、大気汚染による呼吸器疾患、カドミウムによるイタイイタイ病、有機水銀による水俣病につづいて4番目に加わったことから「第4の公害病」といわれる。)
講話のあと考証館見学をしました。