みかん生産者の田上百合子さんは、毎年11月に味噌を作る。同じくみかん生産者の田上真由美さんも一緒に、遠くに住む親戚に送る分も含む1年分の味噌を作る。お手伝いします!と言いつつ、申し訳ないくらい味噌づくりの勝手がわからないので単なるお邪魔になってきた。
3日前には麦を蒸して麹菌をつけて「ねせる」。前日は朝から午後まで大豆を茹でる。一大行事の味噌づくりは、あれこれ準備することがあり大変だそう。
大豆の量が多いので、小屋のかまどだけでは足りず外でも釜を出して火を焚く。焚き木は畑から運ばれた伐採したみかんの木など。煙がもうもうと上がり、目が痛い。「親の死んだ時よか涙ん出るー」と百合子さん。
当日は、その大豆を搗いてから、「ようねた」麦と塩と混ぜる。そしてまた杵と臼で搗いてから容器に詰めていく。最初の1回は百合子さんが杵を握って具合を確かめ、大豆のゆで汁を加減するとのこと。杵を振り上げるオントシ93才。力はどこから来るのだろう~すごいな~
「今日の主役じゃ」と女性陣にはやされたおじさんが、百合子さんに交代して杵を握る。そこで活躍するのがチッソの手袋。チッソで仕事をされていたときに支給されていた手袋で、「味噌と餅つきにはこれが一番よか」とのこと。
それからは、おじさんが汗だくになりながらせっせと搗き、百合子さんと真由美さんが味噌甕やタッパーを満たしていく。みるみるうちに用意された容器がいっぱいになった。
出来立ての味噌はまだ大豆と麹のにおいだったが、12月から食べごろになるらしい。水俣のイリコで味噌汁つくるの、楽しみだな~